目次
【序章】ドクター-X 外科医・大門未知子-
テレビ朝日の人気ドラマ【ドクターX-外科医・大門未知子-】の放送が10月17日(木)からスタートしました。なんと今回シーズン6と根強い人気を誇る医療ドラマです。これまでの放送でも平均視聴率を20%近く取ってきており、初回の第1話も20.3%と好調です。
そういう私もドクターXの一ファンで、ファンなら誰でも職場で「致しません。」ごっこをするのではないでしょうか。しませんね。
ドクターXが好きな理由
これは個人的な考えですが、医療関係者だと、どうしてもリアルとドラマの差がチラついてしまいます。医療ドラマを見ていて、「うわぁ~ドラマだなぁ~」と感じる人は大勢いるはず・・・。だから真面目な医療ドラマを見ていると、どうも萎えてしまう瞬間があるのです。真面目な医療ドラマ好きな人には申し訳ないですが。
その点、ドクターXはネタ要素を存分に含んだドラマなので、物語として見ることができるのです。真面目な医療は伝えつつも、ネタ要素は外さない。この特徴がリアルと区別することができる理由になっていて、好きな理由になっています。
自分語りしすぎ?
ごめんなさい。ちょっと語りすぎましたね。ドクターXはネタが入っているからこそ、医療関係者にも、是非見てほしいと思っています。というのは置いておいて、本題に入っていきましょう。
ドクターXの主人公、米倉涼子さんが演じる大門未知子という外科医には、決め台詞があります。「私、失敗しないので。」というセリフです。シーズン1から続いているこの名台詞で、その通り、大門未知子は失敗しない外科医なのです。
「私、失敗しないので」は患者を安心させるために発現しているだけでなく、失敗が許されないということを、あえて言葉にすることで、自分にプレッシャーを与えて、奮い立たせるような意図含まれている。物語としては、かっこいい医師ですよね。
ここで感じた疑問
大門未知子を看板にして売り出そうとすると、せっかくの名台詞なのに、使えないじゃん。ってか、使ったら、医療広告違反じゃね?と・・・。
例えば、大門未知子が自分の病院を建てるというストーリーが以前のシーズンでありましたが、その際に、「新病院開院!院長は絶対に失敗しないドクター、大門未知子!!!」という広告は出せないのです。自分が新病院のポスターを作れと言われたら、そう出しちゃいそうですよね。でもこれは立派な医療広告違反なのです。
【本題】医療広告違反についての話
いつまでドクターXについて語っているんだという話ですが、本題に入っていきましょう。
平成29年に法律が改正されて、医療広告にはかなり強い制限がかけられたのをご存知でしょうか。知らないですよね。実は医療広告は、結構厳しいルールがあって、使ってはいけない表現というものが沢山出来たのです。
今回はその医療広告違反について語ろうと思います。そして医療広告違反を知ると、見えてくる怪しいクリニック・病院についても語れたらと思います。
医療広告違反をしている医療機関は怪しい!
2年前に法律が改正されたにも関わらず、いまだに守っていない医療機関は、実は結構あります。広告というのは医療機関のポスターやwebサイトなど全て含みますので、注意してみると守っていない怪しい医療機関が見えてきます。
今日はその広告ルールについて知って、怪しい医療機関を見抜く目を養いましょう。
医療広告違反のアレコレ
虚偽広告の禁止
医療機関は虚偽の広告をしてはいけない。つまり広告に嘘を書いちゃいけないよというルール。え?当たり前だって?でも案外わかりにくく虚偽がうまく隠されているのです。
例えば前述していた「新病院開院!院長は絶対に失敗しないドクター、大門未知子!!!」という文章をポスターやWebサイトに記載したとしましょう。これは虚偽広告違反に当たります。
理由は「絶対に失敗しない」というワードが虚偽に当たるからです。現在の医療では「100%失敗しない医療」はありません。したがって、「絶対に安全」や「100%完治」などの表現は虚偽に当たるのです。よく見ませんか?こういう広告。全部違反なのです。
だから、大門未知子を雇っても、そういう広告は出せません。別の表現でドクターXをアピールしましょうね。
他にも効果写真を加工・修正することも違反対象です。「この手術や治療を受けると、この肌がこんな肌に!」といった形で、効果を写真で表現することをよく見ると思います。この写真をフォトショップなどで加工して、綺麗に見えるようにすることは、違反になります。あきらかに「加工してるだろ!」と突っ込みたくなる写真もありますよね。
比較優良広告の禁止
医療機関は他の医療機関と比較して優良である旨を広告することは禁止されています。広告はいかに自社の商品が優れているかをアピールすることに意味があるかと思いますが、比較広告は禁止されています。
例えば「当院の○○治療数は日本一!」や、「肝臓治療ならNo1!」とか、「最高の医療を提供」などの最上級であるという表現は、他の医療機関よりも優秀であるという誤解を与えて、不当に患者を誘引する可能性があるため、禁止されています。
直接的に他者と比較しなくても、間接的に比較されるような表現すら禁止されているんですね。他にも、「あの有名芸能人○○さんも絶賛の!」という超~~~~~~よく見る広告。これもあの芸能人が絶賛してるなら安全で他の医療機関より優れているんだという認識を与えるため、禁止です。
このような広告を打っている医療機関には注意した方がいいですね。
比較は広告の常識?
医療業界以外でも比較はうまく隠してアピールしていたりします。洗剤のCMはこの新洗剤だと1滴でこんなに汚れが落ちちゃうというアピールをする際に、必ず自社の従来製品と比較など小文字で表記して比べていますよね。これは他社と比較していないので、問題はないですよね。このように比較はするけど、ルールの穴は付いてくるような広告は沢山あるので、広告はよく見なくてはいけませんね。
誇大広告の禁止
医療機関は盛って話しちゃいけません。盛り癖は厳禁なのです。誇張しちゃダメなんですよね。それは患者の期待感や印象を操作することで、不当に集客する可能性があるためです。あ、
例えば、「当院は知事の許可を取得した病院です!」と書いていたとしましょう。「え?これが盛ってる?」と思うかもしれませんが、病院は知事の許可が無くては開院できません。つまり知事の許可を取得していない病院は存在しないのです。つまり、常識であることを敢えて書き出すことで、「知事が許可したのなら、期待できる。」と印象操作しているので、アウトなのです。
他にも料金面で盛るようなことがあってはいけません。美容整形などの自由診療では全身脱毛1部位○○円!という広告をよく見ますよね。でもよくよく調べると5か所やったら、1部位その値段になるだけで、実際に1部位だけやってもその値段にはならないという表現は誇大に当たります。大きく安い金額を打ち出しておいて、実際はセットにしないと安くなりませんという、よくある手法は禁止です。
実際の値段と違うじゃん・・・と思ったら、利用を踏みとどまるのも手かもしれませんね。
主観に基づく体験談広告の禁止
いままでの禁止事項でこれが一番多いのではないでしょうか?もう怪しい医療機関の広告には必ずと言っていい程、出現するコイツです。
例えば、「この治療を受けたら、嘘みたいに治っちゃった。早く出会いたかった。30代女性Aさん」という事例を紹介です。こうした体験談は個人の感想になるため、適切な情報提供にはなりません。すごい良く見る「効果には個人差あり」という表現で解決しているつもりかもしれませんが、体験談を載せること自体アウトです。
効果について、体験談を載せている医療機関ではなく、出所のしっかりしている研究結果や論文などをわかりやすく載せている医療機関は信用できるというわけで、効果を表現するには論文等を使わなくてはいけない決まりになっています。
前後写真掲載の禁止
長くなってきましたが、後2つです。
前後写真を載せることは禁止されています。それは加工の有無に関わらずです。いわゆる劇的ビフォーアフターの医療広告を出してはいけないのです。
治療内容を説明するために、写真を使うことはOKですが、写真で効果を表現するために記載することは禁じられています。
同様に、治療のメリット・デメリットを記載する際に、メリットを大きく見出しで、デメリットを小さく表記することも禁止です。メリットばかりアピールしている広告よりも、治療のデメリットをわかりやすく説明している医療機関の方が信用できます。
品位を損ねる広告の禁止
医療機関の品位を損ねる広告は禁止されています。品位って随分抽象的な・・・と思いますが、例えば、「○○キャンペーン中!」や「今なら半額!」などの費用を誇張して表現することは医療の品位を損ねるため禁止されています。
他にも治療と関係のないもので患者を誘引することも品位を損なうため禁止です。例えば、「今なら無料相談を受けた方に○○プレゼント!」などが禁止ですね。
まとめ
このように禁止されている広告事項が沢山あるなか、守っていない医療機関は非常に沢山あります。素人目では一見良く見えてしまうことには強く注意をしなければなりません。勿論広告規制を守っていないからといって悪質な医療機関であることの裏付けにはなりませんが、守っていない医療機関よりは守っている医療機関の方が信用できますよね。
皆さんも怪しい医療機関に引っ掛からないよう注意しましょう。