障害児が通所して(通って)受けるサービスを提供している事業所を障害児通所支援事業所と呼びます。今回は都内23区のうち、それぞれどのくらい障害児通所支援事業所があるのか説明します。その前に、障害児通所支援事業所とは何なのかをお伝えします。
目次
障害児通所支援事業所とは
障害児通所支援事業所とは
障害児通所支援事業所は、児童福祉法に基づく支援で、療育や訓練等が必要な児童に対して、日常生活の基本的動作の指導、知識や技能の提供、集団生活への適応訓練等の支援を行う事業所です。
障害児通所支援には児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、居宅訪問型児童発達支援があります。本文ではそのうち児童発達支援、放課後等デイサービス、その他の発達支援施設について説明します。
児童発達支援とは
小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった障害児への支援を目的にしています。
障害のある未就学の子どもが身近な地域で発達支援を受けられる施設で、通所しやすいよう、できる限り身近な地域に多く設置し、量の拡大を図る意味で設けられています。
放課後等デイサービスとは
障害のある6歳から18歳までの就学児童(小学生・中学生・高校生)が学校の授業終了後や長期休暇中に通うことのできる施設です。
生活力向上のための様々なプログラムが行われています。習い事に近い活動を行っている施設もあれば、行動面、学習面、コミュニケーション面など様々な角度から個人に合わせた専門的な療育を受けることができる施設もあります。
その他の発達支援施設とは
発達障害や知的障害を持つ児に対して、マンツーマンで成長を促すようなサービスや、学習塾、英語教室や音楽教室など特別なプログラムを用いてサービスを提供する事業所(施設)です。通常の事業所とは一風変わった施設がありますが、数は少ないです。
どんな児童が受けられるのか
対象となる児とは
児童発達支援 | 医師や心理士等の専門職員が療育を行う必要があると認める未就学児。 |
放課後等デイサービス | 学校教育法第1条に規定している学校(幼稚園及び大学を除く)に就学しており、授業の終了後又は休業日に支援が必要と認められた障害児。 |
対象児童
身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
※手帳の有無は問わず、児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象
サービス受給者証を取得する
サービスを受けるためには受給者証を取得する必要があります。まずは市区町村の福祉担当窓口に相談しましょう。受給者証を発行するためには、申請書の提出や調査を受ける必要があります。自治体によりますが発行までに1~2か月程度かかることが多いです
23区内ではどこが多い?
簡単に概要を説明したところで本題に入ります。
東京都内には数多くの児童発達支援事業所と放課後等デイサービスがあります。それもなるべく身近でサービスを受けられるようにと厚生労働省の施策があるからです。しかし、満遍なく設置されているかというとそうではなく、多い地域と少ない地域が存在します。また、下のツイートのように子どもと放デイの相性の問題もあり、困っている人は少なくありません。では実際に事業所数を見てみましょう。
放デイは子供との相性あるから見学は絶対必要!
— サナさん@ β世界線 (@sanashoot) July 5, 2019
うちの子は合わなくてやめたの💦
次探してるんだけど、今混みあっててなかなか見つからない…。
どこも混んでて困ったもんだねぇ😵
事業所はLITALICO発達支援ナビに登録している事業所を参考にしています。
発達支援事業所
児童発達支援事業所の多い区はコチラ!
1位 世田谷区(26件)
2位 練馬区(21件)
3位 杉並区(20件)
圧倒的に世田谷区が1位でしたね。
一番少ない千代田区と中央区と比べたらナント13倍。まぁ理由は簡単ですよね・・・。
千代田区と中央区は都心中の都心。23区人口ランキングは堂々の22位と23位です。住んでいる人が少なければ事業所数が少ないのは当たり前ですね。人口ランキング1位の世田谷区には敵わないですね。
放課後等デイサービス
次に放課後等デイサービスの多い区を見てみましょう。コチラ!
1位 江戸川区(45件)
2位 足立区(39件)
3位 練馬区(32件)
児童発達支援事業所で断トツの1位だった世田谷区を大きく引き離して、江戸川区が断トツ1位です。一方で練馬区は2位と3位を獲得しておりバランスの取れた区ですね。
その他の発達支援事業所
最後にその他の発達支援事業所の多い区を見てみましょう。コチラ!
数自体も少ないですが、
1位 目黒区(5件)
2位千代田区・世田谷区・江戸川区(4件)
になりました。千代田区は人口が少ない割にその他の発達支援施設は多いですね。
別の視点でも考えてみる
結果ランキング
あなたの地区は何位でしたか?
まずは総数から見てみましょう。
1位 江戸川区(68件)
2位 足立区(58件)
3位 世田谷区(55件)
はじめは世田谷区圧勝かと思われましたが、結果としては3位にとどまりました。
「人口の多さ=事業所数」は直結していないようですね。1位は他を大きく引き離して江戸川区でした。
人口比でも考えてみる
ここまで件数をランキング形式で発表してきましたが、件数だけでは江戸川区が1位でしたが、人口比で考えた場合はどうなるのか見てみましょう。
1つの事業所当たり、何人の人口を対応しているのかを考慮するとより正確なランキングが出るかもしれません。
1位 千代田区(約6800名)
2位 墨田区(約7200名)
3位 港区(約9300名)
全人口で計算しているので、子どもの人口数に対応しているグラフではありませんが、結果はこうなりました。こうしてみると、千代田区は人口が少ない割に事業所数が多いという結果になりました。
また、これまでランキングには登場していなかった墨田区と港区が出てきました。この2区も人口の割には事業所数が多いと言えるでしょう。
一方で、品川区に関しては約21500名と人口が多い割に事業所数が少ないという結果が出ました。中央区は人口が少ないため数値が上がってしまう点は仕方ないですね。
やはり強い江戸川区
ここまで色々な視点からどの区がいいか検討してみましたが、やはり強い江戸川区。データを取ったわけではないですが、個人的な感覚では江戸川区は福祉サービスが充実している印象を抱いていました。
前述の人口比ランキングで語りませんでしたが、江戸川区は約10200名と人口比ランキングでは第4位と素晴らしい位置にいます。件数ももちろん1位なので、他の地区と比べると様々な事業所が選べると言っていいでしょう。これはデータ的にも福祉サービスが充実している区と呼んでもよいのではないでしょうか?
江戸川区のイメージがあまり無いという人も多いかもしれないので少しご紹介を。江戸川区のホームページの写真にもあるように広い公園があるのが特徴です。 区民1人当たりの公園面積は23区内で1位となっています。
キャッチコピーは「生きる喜びを実感できる都市」。23区にいながらリゾート地のような体験ができるということですね。
ただ区面積の7割が海抜ゼロメートル地帯ということもあり、江戸川区水害ハザードマップが話題となりました。
まさか自分が住んでる区から「どっか行け」って言われるとは思わなくて笑っちゃった pic.twitter.com/YO4Cs1kSqT
— カレパ (@Curry__P) May 21, 2019
補足:区の人口の多い順で比べると
東京都23区の人口ランキングは(平成30年)
1位 世田谷区(約90万人)
2位 練馬区(約72万人)
3位 大田区(約72万人)
4位 江戸川区(約69万人)
5位 足立区(約68万人)
となっていますが、人口が多い区だけで比べてみると、江戸川区が抜きに出ていることがわかりますね。次いで足立区もいい勝負をしていることがわかります。
こうしてみると世田谷区は事業所の総数としては多いですが、人口の割には事業所数が多くないということがわかりますね。総数で善戦していた練馬区も、世田谷区と同様と言えるでしょう。
まとめ
総合的に充実している区は
江戸川区と足立区
人口の割に充実している区は
港区と墨田区
あまり充実していない区は
品川区、新宿区、中央区
もしこれから引っ越しを考えている方がいましたら、このデータも参考にしてみてはいかがでしょうか。