近年、発達障害と診断される人が増えています。これを読んでいる方は診断を受けている人、または自分も当てはまるのではないかと思っている、つまり当事者の方が多いのではないでしょうか。
目次
発達障害者が増えた理由とそのきっかけ
発達障害と言われる人が増えたのは、主に2つの要因があります。医学的な研究が進んだことと、発達障害という考え方が広まってきたことです。結果としてこれまで診断を受けていなかった大人の自発的な受診率が上がり、発達障害と診断される方が増えています。子供のうち、学生のうちはある意味で見過ごされてしまい、社会人になって悩んでいた方が多くいることがわかりました。
発達障害があるとまず面接で困ることが多い
発達障害を持つ方の多くは、社会人の始まりとなる就職活動でつまずいてしまいます。まだ診断を受けていない、比較的症状の軽い方でも同様です。発達障害にはある分野の能力が欠けていて苦手である、という共通点があります。就職の面接では、その苦手なことができるかどうか問われることが多いのです。
これは発達障害の診断を受けていて、面接官に打ち明ける、いわゆるオープンの就職活動ではまず間違いなく聞かれます。面接官は仕事をしていく上でそれが問題にならないかどうか疑問に思い、質問してくるでしょう。
症状はあってもまだ診断を受けていない方も含む、比較的症状が軽いときはどうなるでしょうか。自分が発達障害を持っていることを知らせずに就職する一般就労、いわゆるクローズの場合です。このときでも面接官は同じ質問を投げかけてきます。面接官は人と会ってその人の資質を判断する経験が多く、その能力に長けています。なので発達障害だとわからなくても面接のときの雰囲気、態度、またこれまでの経歴などから苦手なことを察知して、それができるかどうか質問してきます。
発達障害者にとって苦手なものは、残念ながら先天的なものなのでいくら本人が意識し努力しても苦手なままです。そういった経験から、苦手意識が余計に強くなってしまいます。そのため面接官が納得するような回答をすることができず、就職に失敗してしまうケースが多いです。
一番大事なのは面接でしっかりと答えられるようにすること
まず第一に、苦手なことが多く要求される職種は避けることが必要ではありますが、発達障害者でも、社会に適応し就労しながら生活している人は多くいます。
次に、自分にとって苦手な内容を面接で質問された時に正直に答える必要があります。面接だけ通っても、実際の就労の中で問題が出ては長く続けることは困難です。苦手なことは職場でサポートしてもらうことが必要になってきます。
オープンの場合、相手も理解があります。苦手、できない=採用されないわけではありません。大事なのは苦手なことをどのように対策しているか、どのような配慮をしてほしいかを面接でしっかりと話せるようにしておくことです。
発達障害の特徴別に考えられる、よく聞かれて困る質問とその回答例
実際に面接でよく聞かれる質問とそれに大してどう答えればいいか例をあげていきます。
1. 自閉症スペクトラムの方の場合
・対人関係について
コミュニケーション能力は社会と適応していく上ではどうしても必要です。
どんな仕事でも上司や同僚との意思伝達は必要です。人と交流するのが苦手であると伝えながらも同時に、仕事をする上では問題がないことをアピールしていきます。この時は、例えばこんな回答にあります。
・興味が限定されている
自分から興味を持つ分野が人より少なかったり、狭かったりすることも多くの人に共通しています。
この質問は、その仕事に興味を持っているかどうかを聞いています。自分がその仕事にモチベーションが保てるか、また最低限の情報収集ができるかどうかが問題になります。
2. ADHDの方の場合
次に、注意欠陥性多動性障害(ADHD)の方の場合によくある困る面接の質問を紹介します。
・衝動性優位型
思いつきで行動してしまうことが特徴的な場合です。
この時は不得意であることを伝えた上で、結論を出す時には周囲に相談することにしています、と答えるようにしましょう。
・不注意優位型
うっかりとした失敗や忘れ物が多いことが特徴です。
このような質問には、具体的な工夫を答えていきます。
3. 学習障害(LD)の方の場合
学習障害は人それぞれ特徴は異なりますが、読む、書く、計算するなどの分野を苦手としています。ただ、学習障害の場合は他の分野でカバーしていくことが比較的容易です。
苦手な分野については、単純にどの程度なのか聞かれます。
学習面などを振り返って自分がどの程度の能力を持っているか伝え、問題なく業務するにはどんな形にするのがいいか答えていきます。書字障害を持つ方だとこのような例があります。
どの質問でも苦手なことについて聞かれています。回答では苦手であること自体は否定せず、働く上で問題にはならないとアピールすることが基本になっています。
どんな場合でも抑えるべきポイント
実際には障害が重くて回答のような行動はできなかったり、工夫してみてもカバーしきれない場合があると思います。その人によって苦手な分野とその重さは違い、対応策も最適なものは変わってきます。そのため、まずは程度によらず診断を受けて専門の支援機関に通うことが望ましいです。就労移行支援事業所などで様々な対応を学び、経験を積んでいくことができます。
発達障害者がどんな場合でも必ず抑えておくべきなのが以下の3つです。
・職場から理解と、必要ならサポートを受けること。
・必要な能力が自分に足りない場合どう対処するか考え実行していくこと。
これらを組み合わせることが、就職活動だけでなくその後の就労をより負担なく続けるために必要です。