近年、うつ病は発病の低年齢化が見られ、問題視されています。子供がストレスを感じていないという考え方は昔の話です。子供にも周囲との競争や複雑な人間関係といったストレスの要因が多くあります。つまり、ストレスを原因とする心因性のうつ病が発症する可能性は潜在的に子供たちにも充分にあるのです。
まさか自分の子供が・・・と考えるでしょうが、実は子供のうつ病は意外に多いんです。
目次
今や小学生でもうつ病と診断されます
とある調査によると、小学生の1.6%、中学生の4.6%がうつ病と診断されています。小学生の100人に1人、中学生の25人に1人がうつ病と診断されていることになります。
子供が見せる「うつ」の症状
それでは実際に、子供のうつってどんな症状があるのかご存じでしょうか。子供が見せるうつの特徴は主に以下と言われています。
<症状>
・食欲不振
・体重減少
・吐き気、めまい
・頭痛、腹痛など
・睡眠障害
<状態>
・イライラ
・注意力散漫、集中力低下
・寡黙
・不登校、ひきこもり
大人に比べると子供は、精神的に不安定です。急に落ち込む、急に泣く、はしゃぎ回る、感情の起伏が激しい。これらの諸症状は子供ゆえの不安定さと誤認、混同され、適切な治療をしないまま放置されれば重症化を招くということにもなるのです。
子供がうつ病になる原因
子供がうつ病になるきっかけは、いじめや友達同士のトラブル、家族からの虐待など様々です。その他にも以下がきっかけとなって、発症することもあります。
・親の転勤による引越しや進学の為の引越し
・両親の離婚や再婚
・弟、妹ができる、できた
・進級時の環境変化
・受験のストレス
・学校、クラスに馴染めない
・話し相手や友達作りが苦手
・先生に慣れない
など、環境変化に伴って発症することが多いです。
子供がもしうつ病になってしまったらどう接すればいい?
例えばうつ病、あるいは疑いがある子供が朝に学校にいきたくない、眠くて起きられないなど一見わがままを言ってるような場面のとき、何て声をかけるでしょうか。
ここで一番ダメなのが、「もっとしっかりしなさい」など子供を否定することです。否定から入らず、なんで学校にいきたくないのか、なんで起きられないのか理由をしっかりと聞いてあげてください。
もし、子供がうつ病になってしまったら、まずは家を子供の安心できる場所にしてあげましょう。親同士で「おまえのせいだ」など責任のなすりつけ合いをして夫婦喧嘩に発展すると子供は「自分のせいだ」、「私なんか生まれてこない方が良かった」と思い込んでしまうこともあります。
また、うつ病の子供は放ってほしい反面、孤独を怖がります。接し方は難しいです。ただ、親が焦れば焦るほど、子供も情緒不安定になっていきます。大人でも子供でもうつ病患者に対して焦りは禁物です。
子供の「不登校」の原因は?
学校に行きたくなくなるのは何故でしょうか。文部科学省の不登校児童生徒に関する実態調査の中で原因について下記のように分類しています。
1. 学校生活に起因する型
2. 遊び・非行型
3. 無気力型
4. 不安など情緒的混乱の型
5. 意図的な拒否型
6. 複合型
7. その他
近年のうつ病の原因は、「複合型」の割合が伸びて来ています。
学校は「社会」です。小学校3~4年生になると、学校という社会が明確になって来ます。その社会に適応できず、学習や友達関係がうまく行かず、馴染めずストレスへと変化しうつ病の発症から「ひきこもる」子供も少なくありません。
治療の「キーポイント」
重症と診断された場合、安全を保つためにしばらく入院が必要となる場合もあります。心身ともに疲れきっている状態なので、しっかり心も体から休ませることから始めます塾、部活、習い事等は休ませ、学校は早めに下校させてもらう等治療環境を整えます。
心理療法と薬物療法
青年期であれば、心理療法と薬物療法を組み合わせて行うことが多いのですが、青年期以前の子供の場合、個別の心理療法やグループ療法、家族療法などが効果的とされています(薬物療法は必要な場合にのみです)。
子供のうつ病でお悩みの方は迷わずに専門家へご相談を
子供のことを誰にも相談できずに悩んでいませんか。それでは子供だけでなく、親のストレスも溜まってしまいます。
子供のうつ病の対策には、何よりも家族や学校、カウンセラーなど相談にのってくれる人を探すことです。親だけで悩んで解決しようとせず「周囲」に打ち明け相談し、「専門家」の助けを借りることが大切です。早ければ、早いほど良いとされています。