コーヒー(カフェイン)の効果、うつ病との関係は?


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食事が終わったらコーヒー、仕事中に眠気に襲われたらコーヒー、仕事が終われば、ほっとしてまたコーヒー・・・。私たちは、なにかの区切りがつくごとにコーヒーを飲みがちですが、これって健康とどんな関係になっているのでしょうか。

今回は、コーヒーのメリットとデメリット、そしてうつ病との関係についてまとめてみました。

コーヒーの栄養成分と効果

カフェイン

コーヒーに入っている代表的な栄養成分の一つがカフェインです。カフェインは、コーヒーのほか緑茶、ウーロン茶、ココア、チョコレートとこれらを原材料とする飲料や食品などに含まれています。

カフェインの効用としては、覚醒作用、強心作用、利尿作用、脳細動脈収縮作用などがあげられます。このうち、もっともよく知られ、大いに利用されているのが覚醒作用です。

タンニン

タンニンはブドウや柿、緑茶などに含まれる渋み成分です。タンニンは、活性酵素を押さえる抗酸化作用のほかに殺菌や消臭作用があると言われています。

活性酵素というのは、体の中にある物質を酸化させるもので、活性酵素が増えると、細胞の老化や免疫力の低下を招きますが、これを押さえるのがタンニンです。

コーヒーと言えば、まず、カフェインを連想しますが、タンニンはカフェインに劣らず重要な成分です。

ナイアシン

植物性の食品に含まれるビタミンをニコチン酸といい、動物性食品に含まれる「ニコチンアミド」と「ニコチン酸」はこれを総称して「ナイアシン(ビタミンB3)」と呼ばれています。

ナイアシンは、マイタケ、タラコなどに多く含まれる成分ですが、コーヒー、ココア類もナイアシンが多く含まれています。

代謝に欠かせない栄養素のひとつで、アルコールの分解を助け、二日酔いの症状を緩和する働きがあります。

クロロゲン酸

コーヒーの生豆には、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が多く含まれています。ポリフェノールというのは、植物が自身を活性酸素から守るために作り出す抗酸化成分として知られている物質です。

コーヒーの渋味や苦みといった味覚の元ですが、最近では糖尿病や肥満の予防のための素材として利用されるようになってきています。

コーヒーを飲むことのメリット

カフェインの覚醒作用

中枢神経系を興奮させて眠気をはらい、集中力を高めるというのがカフェインの覚醒作用です。実際、コーヒーを眠気覚ましや集中力を高めるために飲んでいる人は少なくありません。

では、どうしてカフェインは覚醒作用があるのでしょうか。睡眠を誘発する物質にアデノシンという物質があります。

カフェインは、このアデノシンの働きをブロックする働きがあります。このほか、痛みを誘発するノルアドレナリンの分泌を押さえる、血管の筋肉を緩める、心臓を休めるなどの効用もあります。

タンニンの抗酸化作用

タンニンには、活性酸素の働きを抑え、老化を予防する抗酸化作用があります。この抗酸化作用によって、コレステロールの酸化を防ぐことから、動脈硬化の予防や生活習慣病の予防にも効果があるとされています。

また、タンニンはタンパク質と結合してタンパク質を編成させ、細胞組織などを収れんする作用があります。この作用により開いた肌の毛穴や皮脂腺を引き締めるという美顔効果があるとされています。

ナイアシン(ニコチン酸)の効用

ナイアシンは、脂質代謝の促進、皮膚、粘膜の保護作用、二日酔いの防止、血行促進などの効用があります。ナイアシンが不足すると皮膚炎、吐き気、下痢、不眠などの症状があらわれることが知られています。

コーヒーを飲むことのデメリット

カフェインアレルギー

以上、コーヒーのメリットを上げてきましたが、デメリットの方もきちんと押さえておきましょう。極めてまれな事例ですが、カフェインに対するアレルギーも報告されており、カフェイン摂取後にアナフィラキシーを起こすこともあります。

アナフィラキシーというのは、じんましん、かゆみ、くしゃみ、せき、むくみなど皮膚や呼吸器、粘膜にあらわれるアレルギー症状です。また、カフェインには、軽度の依存性があるということも押さえておきましょう。

カルシウムが不足しやすい

コーヒーに含まれているカフェインは、カルシウムの吸収を妨げてしまい、尿として一緒に排出されます。利尿作用というプラス面とその裏返しとしてのマイナス面があるわけです。

貧血になりやすい

コーヒーに含まれるカフェインは、鉄分の吸収を阻害し血液の作りが悪くなるというマイナス面をもっています。

吸収を阻害された鉄分は、尿と一緒に体外へ排出されるので、貧血が起こりやすいと言われています。そのため、生理中など血液が少ない状態でコーヒーを過剰摂取するとさらに症状が悪化する危険性がありますので、注意が必要となります。

胃があれる可能性

空腹時にコーヒーを飲むと胃が荒れるというのは、体験的に周知の事実です。これはコーヒーに含まれるクロロゲン酸の作用によるものです。このクロロゲン酸が、胃酸の分泌を促進し、その胃酸が胃の粘膜を刺激するからです。ですから、カフェインレスのコーヒーを飲んでも的外れということになります。

カフェインの適量は

お酒が百薬の長になる一方でアルコール依存症という病気のもととなるように、これほど極端ではないものの、コーヒーに含まれるかカフェインもプラス面とマイナス面を併せ持っています。

そうすると、カフェインの適量ということが問題になります。下記に示す表1と表2は、欧州食品安全機構(EFSA)が、健康な成人が摂取しても安全とみなしたカフェインの量をアレンジしたものです。

表1、2から言えることは、体重40キロの人は、一日レギュラーコーヒーで1杯くらいが適量ということになります。

表1 体重別にみた成人の安全なカフェインの摂取量

安全とみなされる量
体重40kgの人なら体重60kgの人なら体重60kgの人なら
1回に3mg/kgまで 1回120mgまで1回180mgまで1回240mgまで
1日に5.7mg/kgまで1日228mgまで1日342mgまで1日240mgまで

表2 主なカフェイン含有製品とカフェイン含有量

コーヒー

カフェイン量備考
レギュラーコーヒー抽出液約60mg100mL当たり
インスタントコーヒー約60mg同上(粉末2gを溶かす)

カフェイン感受性という個人差がある

上に上げた適量は、あくまで目安で、カフェイン感受性は人ごとに異なります。適量よりも少ない摂取量なのに不快な症状を感じたら、カフェイン感受性高いということです。そういう人は、適量を少し下げて考えなければなりません。

ちなみに、感受性の違いとして、子供が高く、女性より男性が高いといわれています。

うつ病との関連性

コーヒーを飲むとうつ病の発症がさがるという研究報告

最近、コーヒーとうつ病に関する様々な研究報告が行われています。そうした報告の中に杏林大学医学部附属病院精神神経科教授・古賀良彦先生が紹介されている事例を引用します。

フィンランドの中年男性(約2千人)を対象とした研究によるとコーヒーを全く飲まない男性に比べ、1日に6杯以上飲む男性でのうつ病のリスクは、約70%有意に低下していたというものです。

また、米国のNursesʼ Health Study(約5万人)では,コーヒーを週に0~1杯飲む女性に比べ、1日に2杯以上飲む女性でのうつ病のリスクは、約10%~20%有意に低下していたというものです。

コーヒーと自殺の関係

コーヒーと自殺の関係についての報告もあります。先に述べたアメリカのNursesʼ Health Study(約8万6千人)の10年間の追跡調査では、コーヒーを全く飲まない女性に比べ、1日に2杯以上飲む女性での自殺の相対リスクは、約60%~70%有意に低下していました。

また、フィンランド人男女(約4万人)を対象とした研究では、1日に0~1 杯コーヒーを飲む人に比べ、1日に2杯以上8杯未満 の人での自殺のリスクは、低下傾向を示しましたが、1日に8杯以上の人では逆に増加していたということです。

コーヒーの覚醒作用とリラックス効果

これらの疫学研究は、適度なコーヒー摂取は、自殺やうつ病に対して一定の効果の可能性を示しています。古賀教授は、コーヒーに含まれるカフェインの覚醒作用による適度な緊張感、あるいはコーヒーブレイクがもたらすリラックス効果などを示唆されています。

過ぎたるは及ばざるがごとし

適度に飲めば良薬となるものでも、飲みすぎると毒になる・・・。過ぎたるは及ばざるがごとしの格言は、コーヒーについてもいえるようです。

従って、自分にとっての適量を見定めて、プラスの面を頂いて健康生活の糧にするのが、正しいコーヒーの飲み方ということになるでしょう。


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