自律神経失調症で動けない、だるい…対策、治し方は?


ストレスによって自律神経が乱れると様々な症状が起きてきます。これらの症状を総称して自律神経失調症と呼びますが、たとえば「体がだるい」というのは代表的な症状です。

自律神経失調症とは

自律神経のバランスが乱れることによる症状

人体にはたくさんの神経が張り巡らされています。脳や脊髄に張り巡らされているのが「中枢神経」、体中に張り巡らされているのが「末梢神経」です。

末梢神経は、さらに体性神経と自律神経に分けられます。体性神経というのは、意思によって体の各部を動かす神経、意思に関係なく刺激に反応して身体の機能を調整するのが自律神経です。

夏の日差しを避けようとして手をかざす動きをするのが体性神経、汗がでてくるのは自律神経の働きによるものですが、自律神経は、さらに交感神経と副交感神経に分けられます。

交感神経は、体を活発に動かすときに働き、副交感神経は、体を休めるときに働きます。交感神経をアクセルに例えるならば、副交感神経はブレーキの役割を担った神経です。

通常では、この二つの神経がバランスをとりながら体の状態を調節していますが、強いストレスなどを受けるとこのバランスが崩れることがあります。このときにあらわれてくる様々な症状が、自律神経失調症とよばれる症状群です。

あらわれる症状は多種多様

自律神経失調症によってあらわれる症状は様々です。身体的な症状もあれば精神的な症状もあります。具体的な症状は後でふれるとして、自律神経失調症の4つのタイプを押さえておきましょう。

●本態性型:虚弱体質や低血圧の人に多く見られもので、その人の体質に起因した症状です。
●神経症型:感受性が過敏なため、体調の変化に非常に敏感で少しの精神的ストレスでも体調を崩してしまうタイプです。
●心身症型:ストレスによって発症する自律神経失調症の中でもっとも多いタイプです。
●抑うつ型:憂うつな気分、やる気が起きないなどのうつ症状によく似た症状があらわれます。

ストレス、生活リズムの乱れが要因

自律神経失調症の原因の大半は、ストレスと生活のリズムの乱れによるものです。職場におけるストレス、うまくいかない人間関係によるストレス、環境の変化に適応できないストレスなどは、自律神経失調症の元凶です。

夜間勤務の人、あるいは夜更かしする夜型人間など、人体のリズムに逆らったような生活習慣も自律神経失調症を引き起こします。体質的、あるいは性格的にストレスに弱いタイプの人もなりやすい。先にあげた本態性型の自律神経失調症です。このほか、一生を通じてホルモンのリズムが変化しつづける女性は、女性ホルモンの変化の時期になりやすいとされています。

うつ病などを誘発することも

憂うつな気分に支配され、意力と気力が失われるといったうつ病に似た症状があらわれることがあります。先にあげた4つのタイプの中の心身症型や抑うつ型の症状です。

ただし、うつ病と自律神経失調症は、全く異なるタイプの病気/症状です。ですから、自分勝手に自律神経失調症をうつ病と思い込んだり、あるいはその逆であったりという誤認のケースが少なくありません。症状がひどいようならば、専門の医療機関に相談し、正確な診断を仰ぐようにしてください。

自律神経失調症によるだるさやその他の症状

体がだるくて何をするにも億劫で、無気力状態になるというのが、自律神経失調症の代表的な症状です。直ぐに医者にかかる必要はないと考えて、ほおっておくとやがて身体面や精神面に様々な症状があらわれてきます。

精神的症状

自律神経失調症の精神症状は、かなりの数になります。症状の程度も人によって様々ですし、日によって、調子が良いとき、悪いときがあるため気のせいかなと思われることもあります。

自律神経失調症の主な精神症状は以下の通りです。

・怒りっぽくなる。
・すぐに悲しくなる。
・不安になる。
・気分が落ち込む。
・やる気がでない。
・自己嫌悪に陥る。
・変にハイテンションになる。
・物事に集中できない。
・物忘れがひどくなり、記憶力が低下する。

身体的症状

自律神経失調症の身体的症状は、全身に及びます。自律神経は全身の器官をコントロールしていますから、このバランスが崩れると全身の機能に支障をきたし、以下に挙げるような様々な症状があらわれてきます。

・疲れやすい、微熱、倦怠感、疲労感、不眠、大量の発汗や冷や汗、震えなど。
・頭痛、偏頭痛、頭重感、筋緊張性頭痛、脱毛など。
・疲れ目、まぶたのけいれん、ドライアイ、なみだ目、目がしょぼしょぼするなど。
・耳鳴り、耳に何かが詰まっているような閉塞感、めまいなど。
・食事をするときに喉に感じる異物感、のどの奥がイガイガするなど。
・口の渇き、口の中の痛み、味覚障害など。
・動悸、胸の圧迫感、めまい、たちくらみ、手足のほてり、大量発汗、不整脈など。
・過食、食欲不振、慢性胃炎、神経性胃炎、過敏性腸症候群、下腹部の張り、食欲低下、便秘など。
・皮膚の乾燥・かゆみ、多汗、冷や汗など。
・頻尿、残尿感など。
・生理不順、インポテンツ、外陰部のかゆみなど。
・筋肉・関節の痛み、関節のだるさ。
・手や足の痛み、足のふらつきなど。

症状が変化することも

精神面と身体の様々な場所に症状があらわれてきますが、自律神経失調症の特徴は、同時にいくつもの症状があらわれ、時間とともに症状が変わってくるということです。

たとえば、頭痛やめまいの症状がおさまったと思ったら、じんましんがでてきたといった具合です。

だるさなどへの対策、治し方

ストレスを減らす

自律神経失調症の元凶の一つがストレスです。したがって、社会生活をしていく上で避けることができないストレスをどれだけ上手にコントロールできるかが、対策の最重要ポイントになります。

その方法は、人それぞれでしょうが、次の3点は誰にもできて大きな効果が期待できるものでしょう。

・ストレスがたまったらカラオケなどで発散す。
・スポーツなどで汗を流し、体調を整える。
・趣味を見つけ、没頭する。

生活リズムを規則正しいものにする

人体の自然の理にかなった規則正しい生活をするは、自律神経失調症だけではなく、あらゆる病気を予防するための大前提です。実際、生活のリズムの乱れによる身体と精神への負担は、本人が思っている以上に大きいということを銘記しましょう。

医療機関にかかってのカウンセリング、精神療法

身体の様々な場所に症状があらわれているのに検査しても異常が見られない、というのが自律神経失調症です。異常がみられないからといって、自然に治るものでもありません。

症状が長く続き、ひどくなってきたら、専門の医療機関で、診断を受けて治療に取り組んでください。心療内科か精神科では、それぞれの症状に応じて、抗うつ薬や漢方薬などを投薬する薬物療法と精神療法が行われます。

精神療法というのは、カウンセリングなどを通して、ストレスに過度に反応している考え方や心理を改善する療法です。

「なんだかだるいだけ」とあなどらない

けだるいというのは、病気とまでは言えない体の不調です。あるいは、頑張ればできる、という状態です。

しかし、ほおっておくと、症状が変化し、うつ病などの精神疾患を誘発するリスクを孕んでいます。だるさや倦怠感を侮らずに、症状が長引いているようなら医療機関での治療を考えるべきでしょう。


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