精神科はメンタルを診るところなので、検査は不要と思われがちですが、採血など様々な検査をしています。
今回の記事では
1.脳波とはなんなのか
2.精神科で脳波検査をする理由
3.脳波検査はどうやってするのか
の3点を解説していきます。それではどうぞ。
脳波とは何なのか
脳波とは脳内で発生する電気活動のことで、脳波検査では、この電気活動を機械を通して波形として目に見えるように書き記していく検査をいいます。
脳波は脳の覚醒レベルによって変化します。リラックス状態などの低覚醒状態であればアルファ波が出ます。逆にイライラして高覚醒状態になるとベータ波が出てきます。
脳波は周波数帯に応じて6種類に分類されます。
デルタ波(1~3Hz):睡眠状態で現れる波形です
シータ波(4~7Hz):うとうと、注意散漫
アルファ波(8~12Hz):リラックス
SMR(12〜15Hz):ゾーン(アルファ波とベータ波の中間)
ベータ波(13~21Hz):緊張、イライラ
ハイベータ波(22Hz以上):パニック
このようにデルタ波からハイベータ波まで覚醒レベル高さに応じて脳波も変化していきます。
アルファ波とベータ波の中間にSMR(12〜15Hz)と呼ばれるリラックスと緊張の中間に位置する覚醒状態が、ゾーンと呼ばれる最もパフォーマンスが向上している状態を指します。スポーツ業界では自分の脳波をコントロールする訓練を導入して、意図的にゾーン状態に持っていくトレーニングが導入されています。
ニューロフィードバック
脳波のトレーニング方法として、ニューロフィードバックと呼ばれる脳の特定の部位の周波数をコントロールできるようになるというものがあります。アメリカでは積極的にADHDや自閉症スペクトラム障害など様々な精神疾患の治療として使われています。
ニューロフィードバックは主に、アルファ波トレーニングという脳をリラックス状態に持っていく手法とSMRトレーニングという脳をゾーン状態に持っていく手法の2種類があります。
日本でもニューロフィードバックトレーニングを受けられる専門の医療機関が存在しています。
精神科で脳波検査をする理由
脳波の基礎的な説明を終えましたが、次は精神科で脳波検査をする目的について解説していきます。
脳波では覚醒レベルを見ることができると説明しましたが、覚醒レベル以外にも、通常の脳波とは違った波が検出されることがあります。こうした波形の異常から「てんかん」や「脳腫瘍」などの有無を確認することができます。
では、なぜ「てんかん」の有無を精神科で確認するのでしょうか。それは「てんかん」が精神症状をきたす脳疾患であるからです。「てんかん」の人は幻覚が見えたり、妄想的になったり、話が回りくどくなる、怒りっぽくなるなど、「統合失調症」などの様々な精神疾患で認める精神症状と似た症状が出現することがあります。
同じ精神症状であっても、てんかんと統合失調症では治療方法が違うため、どの病気が原因で症状を起こしているのかを、検査で確かめる必要があります。もしも「てんかん」であれば脳神経内科など精神科以外で治療を受けます。
脳波の異常がないを確認することで、診断の鑑別に役立ちます。血液検査で身体疾患が精神症状を引き起こしているかどうかを確認するのと同じです。
脳波検査はどうやってするのか
脳波検査は痛みが全く伴わない検査です。脳の電気信号を機械でキャッチする検査ですので、機械から電気が流れるわけではありません。
実際の脳波検査は動画内で紹介していますのでそちらもご覧ください。