過敏性腸症候群(IBS)のガス型の特徴、原因、治療法は?


検査をしても腸には異常がないのに、ストレスがかかった状態になると、腹痛、下痢、便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す症状を過敏性腸症候群(IBS)といいます。

IBSは、便の形状によって下痢型、便秘型、混合型などに分類されますが、このほかにガス型というのがあります。

ガス型の特徴

おならが多く出る

ガスが腸内にたまる、ガスが動くことで腹痛になる、頻繁にガス(オナラ)が出るというのがIBSガス型の症状です。ガスだけでなく、下痢も発生しますからトイレの心配もしなければなりません。若い女性にとっては、下痢型、便秘型以上に深刻な症状です。

おならに対する不安が強い

頻繁にオナラが出るだけで十分に困ったことなのに、ガス型のオナラの臭いは強いと言われています。ですから、ガス型の人は、オナラが出る心配のほかに、臭って周囲に迷惑をかけるのでは、と心配になり、心理的にかなり深刻な悩みを抱えることになります。

女性の場合は、周囲に相談することもできず、心理的に追い込まれてメンタル面で非常に不安定な状態に陥るケースが少なくありません。

電車内などが苦痛になる

IBSの下痢型では、通勤や通学の電車の中、あるいは会議中など、トイレに行きたくても行けないような不安な場所で起こります。ガス型でも同じです。してはならない場所や時にオナラがでます。

そのことを意識すると、その緊張がまたオナラを誘発します。これらのプロセスは、IBSが、ストレスと不安という精神的なものと深くかかわっていることを示すものです。

不安のせいで生活に支障が出る人も

「満員の通勤電車の中でオナラ出たらどうしよう」、「オナラの臭いで周囲の人に迷惑をかけたらどうしよう」、「恥ずかしいったらありゃしない」・・・。

ガス型の人は、いつもこんな事態を想像し、オドオドして暮らしています。これは、かなり深刻な不安です。

そして、こうした事態が起きる場所や時を避けるようになりがちです。つまり、通勤や通学が苦痛になり、日常生活に支障をきたすようになり、精神的に危うい状態に追い込まれていきます。

ガス型の深刻さは、症状そのものより、症状がもたらす結果にあるといっても過言ではありません。

IBSガス型の原因

ストレスが腸内環境を乱す

IBSの原因は、まだはっきりとはわかっていませんが、ストレスが絡んでいることは間違いのないところです。

脳にストレスがいくと、そのストレスが自律神経を通して胃や腸に伝わり、胃や腸の運動異常を引き起こします。その結果、腸内環境が乱れ、腸内で異常にガスが発生します。

また、緊張やストレスで呼吸が乱れ、たくさん空気を吸ってしまうこともガスの発生と無縁ではありません。

オナラの正体

オナラは、空気と腸内のガスが混ざったものです。腸内のガスは、食べたもののカスが腸内で発酵して発生します。一方の空気は、食事や呼吸時に肺に行かず、胃や食道へと取り込まれてしまったものです。

ガスは一部、体内に吸収され、分解されます。しかし、それ以外のガスは胃や食道に入った不要な空気と一緒に肛門から排出されます。これがオナラです。

オナラの臭いの正体

オナラは、7割が空気で残りの3割が腸内で発生したガスで構成されています。空気は無臭ですが、臭いの元となるのは腸内のガスです。

腸内ガスの成分は、硫化水素(腐った卵のような臭い)、アンモニア(尿の臭い)、スカトールやインドール(便の臭い)です。これだけの嫌なにおいの元があれば、オナラの臭いが強くなる道理です。

緊張で空気を飲み込んでしまうことも要因に

オナラは、口から取り込む空気も関係しています。空気を多く飲み込んでしまうと、おなかが張ったり、げっぷやオナラがよく出るようになります。過敏性腸症候群においてこれは無視できないところです。

食事の影響も受けている

食事の影響も無視できません。炭酸飲料を控え、食物繊維を摂り過ぎないのがポイントです。

低フォドマップ食も効果があるとされています。このほか、カフェイン、乳製品、アルコール、タバコなども症状を悪化させるので要注意です。

過敏性腸症候群に効果的な食事療法は?FODMAPって?

IBSガス型の治療法

日頃のストレスを減らす

IBSの主たる原因は、「心理社会的ストレス」です。例えば肉親の死、家庭内の不和、離婚、転職などの不幸な事態が引き金になって発症することもあります。

職場での人間関係のトラブルや人前で緊張を強いられる発表をしなければならないということが重なって発症するケースもあります。

朝食後、出勤の時間に追われ、ゆっくり排便する余裕がなく、便意を催しても排便や放尿ができない満員電車に乗らなければならないというのもストレスです。

ストレス環境を一気に改善することはできませんが、日常生活の中で、ストレス発散の方法はいくらでもあります。IBS克服の第1歩は、自分なりのストレス発散方法・対処法を身に付けることです。

食べ方に気を使う

食事を一気に詰め込んでしまったり、よく噛まずに飲みこんでしまうような食べ方は、ご飯と一緒に空気を沢山飲み込んでしまうので、避けるべきです。

早食いを避け、よく噛んで食べるという食べ方に気を付けるようにしましょう。また、熱い飲み物はすすりながら飲むことが多いので、実は余分に空気を飲み込んでしまうことになります。

生活リズムをただす

生活習慣を改善し、バランスのとれた食事を規則正しくとるようにしましょう。生活のリズムを正すポイントをいくつかあげておきます。

・三食を決まった時間にとる。
・暴飲暴食を避ける。
・睡眠や休養を十分にとる。
・朝の排便を習慣づける。
・散歩などの軽い運動を行う(適度の運動は腸の働きを整える効果のほか気分転換やストレス解消につながります)。

ガス抜きヨガをしてみる

ネットには専門家のガス抜きのヨガやマッサージの方法がアップされています。参考にしてみてください。

そんな中で、比較的簡単にできるガス抜きのヨガを引用してみます。

1)あおむけに寝て、両ひざを抱えます。
2)息を吐きながら両腕でひざを胸に引き寄せ、上体を起こします。このとき、太ももを下腹に押しつけ、お尻を持ち上げ呼吸を5回します。これで自然にガスが抜けます。
3)体を元に戻し、息を吸って、また繰り返します。

おならでも医療機関にかかっていい

オナラは命に関わる重大な症状ではありませんから、病院に行って治そうという人は稀です。それに、なんだか恥ずかしいという気持ちが先だって、ますます病院の敷居が高くなりがちです。

しかし、IBSガス型は、オナラそのものの苦痛より、それが周りに与える影響を気にして心に負荷がかかる症状です。その結果、何らかの精神疾患を誘発するリスクも含まれています。

症状がひどいようであれば、専門の医療機関で治療に取り組むことをお勧めします。


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