月経前症候群(PMS)はその病名のとおり、月経、生理の前に起こる病気であり、月経、生理が女性に長い間ついて回るものである以上、PMSもまた、女性に長い間ついて回ります。
PMSは精神に悪影響を与えますが、うつ病などの精神疾患のように、治療のために必ずしも医療機関への通院や薬物治療を行う必要があるというわけではありません。
PMSは女性の90%が経験するといわれるほど多くの人がかかっている一方で、その症状は必ずしも強くないため、症状があまり強くない場合は、食事やそれ以外の生活習慣の改善などの、日ごろ自分で行えることでPMSの症状を和らげることが可能です。
この記事では、症状を緩和させる食事以外の生活習慣についてお教えします。
目次
PMSの症状を和らげるために必要なこと
PMSの原因はまだ完全にはわかっていませんが、その症状の改善については「ホルモンバランス」と「ストレス」がカギとなっています。
ホルモンバランスを整える
ホルモンは体の中で作られ、様々な器官の働きを調整する物質であり、そのバランスが崩れると体の各器官の働きに異常がでて体調が悪くなります。PMSは生理前のホルモンの乱れが原因であるといわれており、ホルモンバランスを整えることで、PMSの症状の緩和が期待できます。
ストレスを減らす
多くの精神疾患がストレスと深く関係しているように、PMSもまた、ストレスと関係しています。PMSが発症する原因こそ生理前の体の変調が原因と言われていますが、その症状が重くなる原因の一つはストレスであるといわれています。また、ホルモンバランスの乱れの原因の一つがストレスでもあります。
現代社会において生きていくこととストレスはどうしても切り離せないものになっています。しかし、ストレスを自分なりの方法でうまく発散したり、考え方を変えることで受けるストレスを減らしたりすることはできます。ストレスを受けずに生きていくことは不可能なため、受けるストレスをなるべく減らして、うまくストレスと付き合っていくことが重要になります。
PMSの症状を和らげる生活習慣
ホルモンバランスやストレスなどといった点から、日常生活において実行することが可能な、PMSの改善に有効な生活習慣はいくつかあります。
睡眠習慣の改善
ホルモンバランスを整えるためにまず気を付けることは、睡眠習慣です。昼夜逆転や夜更かしなどといった、規則正しくなかったり、不十分だったりする睡眠は、ホルモンバランスの乱れ、ひいてはPMSの症状の悪化につながっていると考えられています。
発症する可能性のあるPMSの症状の中には睡眠障害もあるので、必ずしも睡眠習慣を改善できるとは限りませんが、できうる限り、規則正しく、十分な睡眠を心がけることが重要です。
運動、ストレッチを行う
運動を行うこともまた、PMSの症状を和らげることにつながります。運動といっても、息が切れるような激しい運動が必要になるわけではなく、ちょっとしたウォーキングや、日ごろエスカレーターを使うところを階段を使うこと、寝る前のストレッチなどの軽い運動でもホルモンバランスの調整につながります。
するべき運動の種類としては、無酸素運動よりも有酸素運動の方が心身の症状の改善に効果的です。
無酸素運動は息の切れる負荷の大きい運動を短時間でする、いわば短距離走的な運動です。
一方の有酸素運動は息がはずむ程度の、それほど大きくはない負荷の運動を時間をかけてする、いわば長距離走的な運動です。ウォーキングや階段の利用も基本的に有酸素運動にあてはまります。
禁煙
喫煙は様々な病気のリスクになるなどのデメリットがあるといわれていますが、そのような喫煙のデメリットの一つにホルモンバランスが乱れてしまうというものがあります。そのため、もし喫煙をしていた場合は、禁煙をすることで、PMSの症状を和らげることができると考えられます。
ただし、急で無理のある禁煙をすると最初のうちは強いストレスを感じることやホルモンバランスが乱れてしまうことがあります。そうなるとかえってPMSの症状を悪化させるなどの悪影響を与えることがありますので、禁煙をする際は計画的な、無理のない禁煙をすることが大切です。
十分な休息
現代日本において働きすぎ、過労の問題は深刻であり、多くの人に付きまとう問題です。過労には様々な悪影響があり、ホルモンバランスの乱れや過度のストレスをもたらします。働きづめにならず、休むべき時はしっかり休むことで、ホルモンバランスの乱れを含む、様々な悪影響をなくす、もしくは和らげることができます。
入浴
体を温めることはホルモンバランスを整えることにつながるため、PMSの症状の緩和に効果的です。また、入浴は疲労回復などの効果もありますし、入浴剤等を使えば、より効果的に日ごろのストレスの解消も行えます。
ストレス発散
多くの方がストレスをためてしまうことを避けられないと思います。そのため、ストレスを発散する方法を確保しておくことがPMSの症状の改善には重要になります。方法は人それぞれですが、趣味に没頭するなどの特に時間を割く必要のあることに限らず、アロマをたいたり、音楽をかけるなどの日常の中でのちょっとしたことでもストレスを減らすことができます。
ものごとの考え方、受け止め方を変える
現代社会においてストレスを感じることは当たり前のことですが、同じ出来事でも自らの考え方、受け止め方が違えば、受けるストレスの大きさも変わります。生真面目すぎたり、過度に完璧主義であったりするとストレスを抱え込みやすいですし、実際にそういった性格の人はストレスなどによって引き起こされる他の精神疾患にもかかりやすいといわれています。そのため、実際の出来事は変わらなくても、人の目を過度に気にすることをやめたり、完璧じゃなくても大丈夫というふうに自分の考え方を変えることで、感じるストレスを減らすことができます。
それでも辛ければ
ここでご紹介したのは、食事や薬以外の日常生活においてPMSの症状を和らげる方法です。それ以外の食事の栄養による改善などと合わせて行うことで、PMSの症状をさらに和らげることが期待できます。
しかし、PMSがうつ病などの精神疾患と比べて症状が軽くですむことが多いといっても、症状が悪化するときは悪化するので、日常生活の中で自分でする治療ではどうしようもないときがあります。
そのため、PMSの症状が強く、自分ではどうしようもなくなったり、不安な気分になるなどしてどうしても辛ければ、医療機関にかかることが必要になります。医療機関ではより強い症状に対しても、投薬治療等の適切な治療が行えます。