精神障害者手帳のメリットとデメリットと割引されるサービス一覧


精神障害者手帳ってご存知ですか?このブログを見てる方はおそらくほとんどの方が知っていると思いますが、精神障害者手帳をまだ持っていない方や申請をするかどうか悩んでいる方に向けて、精神障害者手帳を持つことのメリットとデメリットをご紹介します。また、精神障害者手帳を持ってることで得をするサービスについてもご紹介します。

1.精神障害者手帳とは

精神障害者手帳とは

まず、精神障害者手帳は略称であり、正式名称は精神障害者保健福祉手帳と言います。精神障害を証明するための手帳です。手帳を持っていると様々な支援が受けられます。

対象者

何らかの精神疾患を持ち、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を対象としています。対象者は、精神疾患による初診から6ヶ月以上経過している方のみとなっています。

主に以下の精神疾患で申請が可能です。

・統合失調症
・うつ病、躁うつ病
・てんかん
・薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
・高次脳機能障害
・発達障害
・その他の精神疾患

有効期限

手帳には有効期限があります。交付日から2年ごとに手帳を更新しなければいけません。更新は医師の診断書が必要であり、その診断書に基づき身体の状態を精神保健福祉センターが判断して等級などが決められます。

等級について

精神障害者手帳には等級があります。重い順に1級、2級、3級となっています。等級によって、受けられる福祉サービスが異なります。

また、等級に関する疑問で「2級ってどの程度の症状なんだろう」、「2級と3級の違いってなんだろう」など等級の基準について疑問を抱いてる方は多くいます。判定基準は主に以下の3つから決定されるそうです。

・精神疾患の存在の確認
・精神疾患(機能障害)の状態の確認
・能力障害の状態の確認

そして、各等級の基準については以下のとおりです。(引用:「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」より)

1級:親しい人との交流も乏しく引きこもりがちである。自発性が著しく乏しい。自発的な発言が少なく発言内容が不適切であったり不明瞭であったりする。日常生活において行動のテンポが他の人のペースと大きく隔たってしまう。些細な出来事で、病状の再燃や悪化を来たしやすい。金銭管理は困難である。日常生活の中でその場に適さない行動をとってしまいがちである。

2級:社会的な対人交流は乏しいが引きこもりは顕著ではない。自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある。行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある。ストレスが大きいと病状の再燃や悪化を来たしやすい。金銭管理ができない場合がある。社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある。

3級:対人交流は乏しくない。引きこもりがちではない。自発的な行動や、社会生活の中で発言が適切にできないことがある。行動のテンポはほぼ他の人に合わせることができる。普通のストレスでは症状の再燃や悪化が起きにくい。金銭管理は概ねできる。社会生活の中で不適切な行動をとってしまうことは少ない。

メリット

まず、障害者雇用に応募できることが一つのメリットです。当たり前のことですが、精神障害者手帳がなければ、障害者雇用に応募できません。障害者雇用促進法により、民間企業の場合は2.0%以上の障害者を雇うことが義務付けられているため、障害者雇用は意外と多いんです。そのため、精神障害者は一般雇用で応募するよりも就職がしやすくなっています。

障害者雇用の就職件数も年々増加していて、その中でも精神障害者の就職件数は大幅に増加しています。2013年には、身体障害者の就職件数を上回りました。(参考資料:厚生労働省)

新規求職 申込件数 就職件数 就職件数前年度比
精神障害者 64,934 件 29,404 件 5,543 件増(23.2%増)
身体障害者 66,684 件 28,307 件 1,734 件増( 6.5%増)
知的障害者 30,998 件 17,649 件  1,619 件増(10.1%増)

また、手帳を取得することによって、経済的なメリットもいくつかあります。税金の控除や減免、交通機関の割引、公共施設等の利用料減免、携帯電話料金割引、映画館割引などがあります。それぞれ、等級によって異なるので確認しておきましょう。詳細については後ほどまとめます。

デメリット

デメリットは基本的にありませんが、申請する際に診断書の作成で5000円~10000円ほどかかることくらいです。取得後の割引を考えれば、デメリットにはならないでしょう。

また、精神障害者手帳を持つことによって、誰かに差別されることもあるかもしれませんし、自分自身が障害者であるという事に対して、嫌に感じる方もいるみたいです。ただ、そんなことはきにする必要はないです。こういった考えは思い込みであることが多いので、楽観的に考えることが重要です。

2.割引されるサービス

住んでいる地域によって様々ですが、精神障害者手帳をもっていることで多くの支援が受けられます。また、等級によっても様々です。自分が何級の手帳を持っていて、自分の住んでいる地域ではどんな支援がされているか、確認をしておくと得になります。一通り支援についてご紹介しますので参考にしてみてください。

税金の控除や減免

年末調整や確定申告の際に障害者控除があります。障害者控除とは、納税者自身又はその控除対象配偶者や扶養親族が所得税法の障害者に当てはまる場合に一定の金額を所得から控除できるというものです。

所得税の控除(1級は40万円の控除、2級・3級は27万円の控除)
住民税の控除(1級は30万円の控除、2級・3級は26万円の控除)
相続税の控除(1級は85歳に達するまでの年数1年につき×12万、2級・3級は85歳に達するまでの年数1年×6万)
贈与税の非課税(1級は非課税6,000万、2級・3級は3,000万)

具体的にいくら返金されるかどうかなど詳しく知りたい方は、自治体や税務署にお問い合わせしてみてください。

交通機関の割引

電車、バス、タクシーなど交通機関の料金が割引、もしくは無料になります。例えば、東京都では東京都交通局(都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナー)は無料で利用可能です。ただし、都内に住んでいる方のみとなっています。利用する際は乗車証が必要になるので申請が必要です。申請する際は精神障害者手帳を持っていくようにしましょう。乗車証はICカード式のものもありますので利用もしやすいです。申請は都営地下鉄または日暮里・舎人ライナーの定期券発売所でできます。
他にも、運営企業によりますが、東京都内タクシーが10%割引されるなど、様々な支援があるので気になる交通機関は調べてみてください。

携帯電話、スマートフォン利用料金の割引

大手携帯会社3社docomo、au、softbankでは、障害者手帳を持ってる方に向けて割引があります。各社割引内容は以下の通りです。
今後変更する可能性があるので、詳しくは各HPをご覧ください。

docomo:ハーティ割引
・基本使用料が1700円割引
・各種サービスの月額使用料60%割引
・テレビ電話通話料が音声通話料と同額に

au:スマイルハート割引
・基本使用料が1700円割引
・通話料最大50%割引

softbank:ハートフレンド割引
・ホワイトプランの基本使用料無料
・パケットし放題、パケットし放題S for スマートフォンの下限額が0円
・TVコール国内通信料が0%割引

公共施設の割引

映画館、動物園、美術館、水族館なども割引対象です。

映画館:通常料金1800円→1000円(同伴者1名も対象・3D映画は+400円)
上野動物園:入園量600円→無料(同伴者1名も無料)
東京国立博物館:入館料620円→無料(同伴者1名も無料)
東京スカイツリー:入場料(350m)2060円→1030円、入場料(450m)1030円→510円(同伴者1名も対象)
葛西臨海水族園:入園料700円→無料(同伴者1名も無料)

一部しか紹介できませんが、その他にも割引される公共施設は多くあります。映画館は場所によっては割引対象ではないので行く際は確認してみてください。

その他の支援

上記以外にも調べてみると多くの支援があります。利用する地域によりますが、水道料金などの公共料金の割引を行っているところもあります。他にも、公営住宅への優先入居、NHK受信料の免除などがあります。公共施設など利用する際は、割引がされているかどうか事前に調べてみることをおすすめします。

3.まとめ

精神障害者手帳についてまとめてみました。手帳について何も知らなかった方も、何となく手帳について分かって頂けたのではないでしょうか。最後に、それぞれの要素をもう一度確認しておきましょう。

精神障害者手帳を持つメリット:障害者求人に応募できる、様々な経済的支援
精神障害者手帳を持つデメリット:申請時に少額お金がかかる、ストレスに感じる人もいる
経済的支援:税金の控除・減免、交通機関の割引、携帯電話の割引、公共施設の割引など

最初は、自分が障害者手帳を持つことに戸惑う方もいると思いますが、手帳を持つことで様々な支援が受けられるので悩んでいる方は申請を前向きに検討してみてください。


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