自分で自分を上手に助ける“セルフケア”を紹介します!


この記事を読むとわかること
  • しんどい時に落ち着ける方法がわかる
  • ストレスとの向き合い方がわかる

 東京でも梅雨入りが発表され、心も身体もどんよりとする季節がやってきました。ストレスが溜まって苦しい、疲れが取れない、不安なことがあって眠れない…などのメンタルの不調はありませんか?こうした不調から脱する方法の1つに“セルフケア”というものがあります。

 そんな“セルフケア”について今日はご紹介していこうと思います。

セルフケアって何?

 “セルフケア”は、「労働者の心の健康保持増進のための指針」(厚生労働省、2006年発行)の4つのメンタルヘルスケアの1つに挙げられており、“自分で自分を助けること”を示します。

 “セルフケア”は、決して「ひとりで孤独に自分を助けること」ではなく、“誰か”の助けを借りながら、回復し元気を取り戻すことが重要と言われています。今回はセルフケアの方法についてレベル別にご紹介します。

今すぐ落ち着きたいとき

 まずは、今現在「とにかく苦しい」「ひとまず落ち着きたい」という方に向けてのセルフケアを3つご紹介します。

ため息をつく

 ため息は、心身の緊張や疲れをとることができる最強のセルフケアです。意図的にため息をつくことを、何回も繰り返してみてください。

 息を吸い続けると「過呼吸」という副作用になる恐れもありますが、息を吐き続けることには副作用が全くなく、良いことしかないと言われています。

紙をちぎる

 ひたすら手を動かす単純作業は、とりあえず落ち着けるのに役立ちます。ティッシュやいらない紙をちぎったり、はさみで切ったりして、これ以上小さくできないくらい細かくしてみましょう。他にも、「ぷちぷち」をひたすらつぶしたり、とても丁寧に手を洗ってみるなど、とにかく手を使ってみてください。

身体の力や重心を下に下げる

 苦しい時やつらい時、私たちの体は上へ上へと向かう傾向があります。そのため、呼吸が浅くなったり、肩が凝ったり、頭が痛くなったりしがちなのです。そこで苦しい時こそ体の力や重心を意識して下へ下へと落とすようにします。例えば、座っているときに両足の裏を地面に押し付ける、相撲取りの真似をしてしこを踏むなどの方法が挙げられます。

心を一人にしないで

 ひとまず今は落ち着けている方は、次に「誰かとつながる」ことを意識します。はじめに説明した通り、セルフケアとは“誰かの助けを借りる”ことが必要になります。とはいっても、自分の周りに助けを借りられる人なんていない…と思っている方もいるのではないでしょうか。“誰かに頼る”前に、心の中で誰かを思い浮かべたり、人間じゃなくても誰かと一緒にいることでも、心理学的には「誰かとつながる」ことになります。そんな「心を一人にしない」ための、ポイントを3つご紹介します。

ちょっとした顔見知りを増やす

 私たちは実際に独りぼっちで生きていることはありません。直接的なやりとりがなくても、「ちょっとした顔見知り」の人を思い浮かべてみましょう。コンビニやスーパーの店員さんや会釈するくらいの近所の方、よく見かけるノラ猫…など、そのくらいの「ちょっとした顔見知り」を思いうかべてみることで、自分が完全な独りぼっちではなく、社会的ネットワークの中で暮らしていることが理解できると思います。

サポート資源について情報収集する

 困ったときにすぐ相談できるように、助けてくれそうな専門家や機関を探しておきましょう。インターネットや役所に問い合わせてみたり、誰かに聞いてみるなど、様々な手段を用いて、情報を集めましょう。その専門家や機関が信頼できるかどうかまで、事前に調べておくことで、「とりあえず誰かが助けてくれる」という安心感につながります。また、自分と似たような悩みを抱えている方々が集まる「自助グループ」を探すのもよいでしょう。

サポートネットワークを書き出してみる

 先ほど調べた情報を書き出してみましょう。書き出したサポートネットワークを常に見れるようにしておくことで、自分をサポートしてくれる存在があることを思い出すことができるようになります。

ストレスと向き合う

 “誰かとつながる”ことに意識を向けることができるようになったら、ようやくストレスと向き合う準備が整ったことになります。ここからは、実際に自身の心身に降りかかるストレスについて考えていきましょう。

ストレスに気づく、書き出す

 ストレスと向き合うためには、まずはストレスの原因に気が付くことが大切です。「仕事を首になった」「友達と喧嘩した」「明日までにやらなければならないことがある」などの規模の大きい出来事には比較的気が付きやすいと思います。ですが、日頃のストレスに気が付くには、もっともっと小さい規模の出来事にも目を向けることが大切です。小さい規模というのは、「誰かと微妙に気が合わない」「今月の生活費が厳しくておやつが買えない」などの程度のことです。小さなストレスの原因に気が付き書き出すことで、自分のストレスを客観的に見つめなおすことにつながります。

ストレス日記をつける

 「ストレスに気づく、書き出す」で出てきたように、ストレスの原因は大きいものから小さいものまで私たちの周りに散りばめられています。こういったストレスと向き合っていくには、そのストレスの原因を受け止め、書き留めることが効果的だと言われています。そこでここでは、“ストレス日記”をつけることをおすすめします。ストレスを感じた時、ノートやパソコンに、どんな時どんな事でストレスを感じたのかその都度記入するようにしましょう。自分なりの方法を見つけて、ストレスと向き合える環境を作りましょう。

ストレスに対処する行動を考える

 ストレスの原因となる刺激やストレス反応に対して、自分を助けるために、何らかの対処をすることを「コーピング」といいます。日々の小さなストレスと上手く付き合うためには、様々なコーピングを用意し、ストレスに合わせて効果を検証することが重要です。効果があったコーピングは、今後役立てることにつながり、自分自身でストレスを対処することにつながります。

 上記で説明した、今すぐ落ち着きたいとき心を一人にしないストレスと向き合うで紹介した方法は、それぞれ立派なコーピングといえます。今までご紹介したコーピングにプラスして、皆さんが実践しやすいコーピングについて最後にご紹介したいと思います。

自分で自分に語りかける(認知的コーピング)

 自分を苦しめたり、落ち込ませたりするようなときには、単に受け止めるのではなく、その考えに対して、もう一人の自分が語り掛け、新たな考えを作ることが自分を助けることにつながるといわれています。これを、認知的コーピングと言います。具体例としては、「よくやってるよ」「頑張っているね」と自分を応援する、しんどい時に「どうしてだめだと思ったの?」「どんな言葉で気持ちが楽になる?」と自分に問いかける、などがあげられます。また、「もし自分が〇〇だったらこう思うだろうな」など自由に想像するのもよいでしょう。

気晴らしになる行動をかき集める(行動的コーピング)

 自分にとって気晴らしになる行動を知っておくのもコーピングの一つです。これを行動的コーピングといいます。運動する、寝る、音楽を聴く、などざっくりとしたことでもいいですが、「家の近所に散歩へ行く」「ソファで30分横になる」「誰のどの曲を聴く」など具体的に決めておくほうがよりよいでしょう。このほかにも、「テーブルを磨く」「コンビニスイーツを食べる」「好きな芸能人の写真を見る」などなど自分にとって少しでも気晴らしになる行動を書き出してみましょう。

まとめ

 今回ご紹介した“セルフケア”はいかがだったでしょうか。ため息や紙をちぎるなど今すぐ実践できそうなものから、今後ストレスが溜まった時にどう行動するべきかまで、様々なレベルのセルフケアがあったかと思います。ぜひ、自分の体調に合わせて、段階的に実践してみてください。セルフケアを身につけて、少しでもストレスの少ない生活を目指してみましょう。

~参考文献~
1) 厚生労働省 こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~
2) 伊藤絵美 著 「セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク」晶文社 2020
3) 日本看護協会 個人での対応(セルフケア)
4) リクナビNEXTジャーナル コーピングとは?お金をかけず「手軽」にできるストレス対処法に注目!