こんにちは、研究員の「ゆでたま」です。
サイコセラピー研究所TVでご紹介した、電気無けいれん療法(mECT)に関する番外編その3です。
異様な程ハナシがうまく、聴き始めると思わず惹きつけられる動画です。
この講演は2001年に行われたTED(カンファレンスを運営する非営利団体)での講演の一つです。TED代表でキュレーターのChris Andersonは、2012年にこの講演を振り返って「(TED)カンファレンスの歴史の中で最もパワルフルな瞬間だった」と評したとか。
スピーカーは著名な外科医で著述家の Sherwin Nuland氏。著書の何冊かは翻訳されて日本にも紹介されています。ひどいうつ病からECT治療で復帰したご自身の体験を語っているのですが、この語りを聴く前に、下の動画で、ECTについておさらいしておきましょう。それを済ませたら、トイレに行って手を洗い、正座して背筋をピンと伸ばしながら聴くと良いですね、そんな講演です。
簡単に、聴きどころを。
前半は、精神障害と医学の歴史について、エピーソード中心に語られます。1930年代にイタリアにおいて世界で初めてECTが試みられた時のハナシはユーモアたっぷりでとても楽しいです。
後半はご自身の体験です。実は、ここで初めて話すのですが・・・、とうつ病の過去を告白。
薬物療法が全く効かずロボトミー手術が検討されていたが、その前にECTをやってみることになり、すると・・・。
このあたり、かなり心を動かされます。
ECTで症状が劇的に改善し、職場復帰はできたものの、落込みや強迫観念からは完全には自由になれなかった。それらが顔を出した時には、
“Ah, fuck it” と言うと、必ず効くらしいです。
言葉を声に出すだけなんですが、言葉が精神にもたらす影響がいかに大きいか考えさせらるハナシですね。
Sherwin Nuland氏は外科医の仕事と家庭生活を取り戻し、さらには作家として何冊もの作品をものした後に、2014年に前立腺がんで亡くなっています。
ご冥福をお祈りします。
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