こんにちは、研究員の「ゆでたま」です。
サイコセラピー研究所TVでご紹介した、電気無けいれん療法(mECT)に関する番外編です。
動画をご覧いただければわかる通り、ECTは薬物療法と比較しても有効で安全であるとされています。
にもかかわらず、どこかタブー視されている風なところがあるんですね。
これは日本だけに限りません。
先日亡くなった著名な女優であるキャリー・フィッシャーもECT治療を受けていたようでして、
キャリー・フィッシャーと聞いてピンと来ない人でも、映画「スターウォーズ」の「レイア姫」ならわかりますよね。遺作となった「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」では、「レジスタンス」の女性司令官として貫禄十分ですが、若い頃は「レイア姫のゴールドビキニ姿」として、セクシーなイマジネーションの対象としてネタにされたりもしてました。
女優業だけでなく小説を4本、回想録を3本、その他映画の脚本も書いていて多彩な方でしたが、2016年12月に亡くなった際には薬物やアルコール依存、それから精神障害に苦しんでいたことが報じられました。
20代半ばで双極性障害と言われ、自身がその診断を受け入れたのは薬物の過剰摂取でリハビリしてしらふになった28歳のとき。
彼女は、2008年の回想録で、ECTについて言及しているそうで、
RollingStone誌の追悼記事によれば、「この回想録で最も魅力的なのは、うつ病の治療として非常に効果的でありながら未だに悪いイメージのあるECTを彼女がなぜ選んでやってみたのかあれこれ書いているあたり」、なんだそうです(孫引きで失礼)。
But the most fascinating aspect of that book is Fisher’s writing about why she opted to try electroconvulsive therapy (ECT), a still-stigmatized though highly effective treatment for depression.
「治療の詳細は書かれていないが、2011年のインタビューで、”まず眠らされるの。薬でけいれんやなんかも起きないわ。ホント直ぐに終わって家に帰ってひと眠りよ”、と語っている。彼女が電気治療について全く隠さずに話し副作用や効果を率直に受け入れている姿勢をみていると、1938年に始められて以来野蛮なものとされてきたこの治療について、もっと異なる見方があるのだということがよく分かる」(動画スタート30秒後あたり)
Though she doesn’t go into great detail about the procedure itself, she told Oprah in 2011, “They put you to sleep. They give you a medication so there are no more convulsions or anything … It’s over very quickly and you go home and take a nap.” Her honesty in disclosing that she had the therapy at all, as well as her frank take on its side effects and benefits, helped shed a more nuanced light on a treatment that’s been commonly judged as barbaric since its 1938 inception.
「フィッシャーにとってECTは非常に効果的で、最終的に受ける価値のある治療だった。”記憶の一部は二度ともどらないの。無くなってしまうんだけど、激しい挫折感や絶望感と一緒によ。間尺に合わないとは思わないわ”」
But for Fisher, ECT was quite effective, and ultimately worth it: “Some of my memories will never return. They are lost – along with the crippling feeling of defeat and hopelessness. Not a tremendous price to pay.”
米国でも、ECTは 未だに”barbaric”であると見られていて、だからこそフィッシャーの率直な発言が取り上げられるわけですね。
以上、精神障害や薬物依存との苦闘を、包み隠さず回想録やメディアで率直に語った勇敢な女性のお話でした。
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